家族のカタチ 〜沈没家族の取り組み〜
加納 土(つち)監督の映画
「沈没家族 劇場版」を観てきました。
阪神大震災が起きた1995年。
加納監督の母、穂子(ほこ)さんがはじめた
共同保育の試み「沈没家族」は、
「新しい家族のかたち」として
当時のメディアにも取り上げられ
注目を浴びていたそうです。
シングルマザーとなった穂子さんは
子どもを「自分一人で」育てるのではなく
「色んな人と一緒に」育てることを選びます。
その方が楽しいんじゃないかと。
親子だけじゃつまらないと。
その考え方がまず、すごいよね。
『子どもは親が育てるのが当たり前』
そんな風に思ってる(思わされてる)人が多い
この世の中で、真正面からそれの逆を行く。
最初から枠を取っ払ってしまう。
なんて自由な人なんだろう。
そんな穂子さんに魅力を感じて
集まってきた保育人は、なんと50人。
パンフレットに掲載されている
当時の穂子さんのインタビューを読むと、
子ども(土くん)を産む前から既に
共同保育を考えていたみたい。
保育人にも、何も強制しない。
だから、そこに上下関係が生まれない。
誰もが「素」でいられる場所って
確かに家族そのものじゃない?
ただ、実際の家族には
力や経済力による支配があるから
(稼いでくる人=父もしくは母がトップ)
沈没家族は家族を超えた家族なのかも。
穂子さんがまいた手作りチラシを見て
大勢の人が集まった沈没家族。
そこで育った、監督の土くん。
「おおらか」という言葉がぴったり。
体型も20代前半には見えないけど大丈夫か?
ちょっと心配になってくる。
それにしても登場人物のほとんどが
まぁ〜吸うわ吸うわ。とにかく吸う。
常に煙草の煙がスクリーンに写ってる映画(笑)
そういうユルさも、すごくいいなって。
いつも通りを撮ってるんだなって分かった。
みんなの言葉が「セリフ」じゃない。
ドキュメンタリーだけど、ドラマがある。
家族になれない父と、彼を父と思えない息子。
土くんはどんなお父さんになるんだろう。
どんな家族を築いていくんだろう。
穂子さんが作った家族とはまた違った形の
自由な家族の形態がきっとある。
そんな近い将来のことも楽しみになる
とてもいい作品でした。
MONO NO AWARE の主題歌が今も
ふわふわと頭の奥で流れています。
♪それは〜なんの〜サイン?
♪おっそらくきいてもわっか〜らない
♪それは〜なんの〜サイン?
♪おっそらくだ〜れもわっか〜らない
ええわー、この歌。
MONO NO AWARE の歌と出会えただけでも
この映画に感謝したい。
いやもちろん、それだけじゃないんだけどね。