「嫁」をやめたので、稼ぎます。

嫁をやめたら、世帯主。子どもと二人三脚の日々。

20年ぶりの基本給

7月に転職して、約2ヶ月。
見習い期間の前半が終わった。

日々の講義を担当している上司は
長年営業所長に就いていた方で
今年の3月で定年を迎え、
嘱託勤務中。

次のステージに進む私たちに向けて
しみじみと語った言葉が印象的だった。

「保険を売るよりも採用の方が難しいんや」

ほんとにそうだなぁと思う。
採用の難しさは、私自身、痛いほど実感している。

私が前職(ヤクルトレディ)を辞める前、
担当エリアを引き継ぐ人が全く見つからなくて
実質1年ほど転職活動ができなかった。

加えて、今の店長が販売所に配属されてから
もう、笑ってしまうくらいの出産ラッシュ。
妊娠の報告を受ける度に語られる「店長コウノトリ説」。

本当に本当におめでたいし、喜ばしい、
その一方で、もんのすごい大変な、従業員の出産退職。
1年後くらいに戻ってきてくれたら助かるけど
そういう人ばかりでもないのが現実。
抱えているお客さんの数によっては
店は間違いなく混乱に陥る。

人間ひとりで出来る仕事には、限りがあるのだ。

そこで、働き手を募集するわけだけど
これがなかなか一筋縄にはいかない。

接客業というのは向き不向きもあって
誰でもいいというわけではない。
研修にも莫大な経費がかかる。
採用は慎重にならざるを得ない。

20年前の就職超氷河期と比べると
今の新卒はウソみたいに売り手市場だという。

ただ、前職のように、1日5〜6時間の勤務で
収入は正社員の半分程度、
もしくは扶養の範囲内で毎月8万円となると
ターゲットは絞られてくるわけである。

つまり、今や化石に近い「専業主婦」の人。
世帯主の収入だけでやっていけてるけど
働いてもいいかな〜って思ってる人。

いやいやいや。
そうそういませんって、そんな人材!

収入が欲しい主婦は既にパート勤めしてるし
生活に余裕がある人は働く気なんて起こらない。

中には「昭和か!」って感じの世帯主もいて
配偶者が稼ぐ事を良しとしないから
いくら本人が乗り気でも採用につながらなかったりする。

働く仲間を見つけて、
さらにその人に一緒に働いてもらう。
難しいなぁ・・・。


一方で、安倍内閣は「就職率が上がった」という。
でも、実際のところは、団塊世代が一気に退職して
とにかく人手が足りてないってだけの話。

企業側が今、本当に欲しいのは
新卒ではなく即戦力だ。
教育に資金をかけられるのは大手だけ。

こういう事態を招くことは
30年前から分かってたはずなのだ。

長年、採用を控えてきたツケが
今になってドカーンと来てる。

日本全体が、見通しが甘かったってこと。

定年後も嘱託で働く人が多いのは
収入のこともあるけど、企業側としても
貴重な「人材」(経験のカタマリ)を
簡単に手放せないからだろうと思う。

実務をこなしてきた経験も
部下を率いてマネジメントしてきた経験も
それなりにあっておかしくない、40歳前後の世代。
つまり私たちの年代がそれにあたるはずだけど
出だしが非正規だと、ずーっと非正規。

キャリアなんてない。ボーナスもない。貯金もない。
そんな人が、私を含めてウジャウジャいる。
働き手の中心になるはずの世代が
満足に働けてないから、次の人材も育たない。

つまりね。

若い世代への投資は、
未来の自分たちのためになるんだよ。
この国を動かしてる人たちは分からないのかな。

投資を渋ると、結局は
自分たちの首を締めることになるって
早く気付いてくれないかな。

日本は子どもへの投資がなさすぎる。
教育予算が低すぎる。
予算というのはつまり、人件費そのもの。

実際、元営業所長である上司から聞くあれこれは
どんなテキストにも及ばない、
生身の人間とのやりとり。
その人だからこそ得られた経験。

今はまだ何も会社に貢献してないにも関わらず
そういう貴重な話を聞けて、かつ、お給料も頂ける
こんな有難いことってあるだろうかと思う。


私の社会人1年目は、20世紀の最後の年。
卒業後、正社員だったのはたったの1年だけ。
(正確にいうと11ヶ月)
最初に就職した写真の会社は、あっさり倒産した。

今では当たり前になった、ネットからのプリント。
20年前は、スマホなんかなくて、白黒画面の携帯だった。
まだまだパソコンを持ってる人も少ない
インターネットの黎明期。
ようやくADSLが出て来た時代。
今思えば、早すぎたのかなと思う。

そのあとも、正社員の求人なんてゼロに等しくて
仕方なく有期契約の社員や職員を転々としてきた。

時給いくらで働く日々は、休んだ分だけ収入も減る。
長い連休があると、その月の収入はガタ落ち。
仕事がない間は海外旅行〜♪ とか、あり得ない。
仕事がないと、お金もないから、旅行なんか行けない。
それが非正規の現実。

10年前に結婚して、つわりがひどくて仕方なく辞めた。
5年前に個人事業主になった。
そして今、転職してもやはり個人事業主
交通費やら電話代やら、色々と経費がかかる。
それでも一応「正職員」だから、社会保険がついてる。
国民年金から、厚生年金になった。
健康保険も、雇用保険もある。有難いなぁ。

これから3ヶ月、見習い期間の終了までは嘱託契約。
目標を達成できたら、期間の定めがない
「雇用」契約へ移行される。

実に20年ぶり!

よし。
担当のお客さん全員と仲良くなるぞ〜♪