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えらいもんを観てしまった 〜映画「海獣の子供」〜


昨日は「映画の日」だったので
息子と2人で映画館に行ってきました。

 

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海獣の子供

www.kaijunokodomo.com
五十嵐大介のコミック「海獣の子供」を原作に
ものすごい映像美と壮大な音楽で繰り広げられる
夏の大スペクタクル・・・

なーんて
陳腐な言葉で表現したらあかんやつ。

これは「いのちの物語」です。

海は、産み親。
繰り返し語られる「海のなんでも屋」デデの言葉。

生命は海から産まれる。
海は子宮。

世界のほとんどは見えないもので出来ている。
人間の意思は、宇宙の誕生と似ている。
小さい塵みたいなものが集まって
渦を巻いて、大きくなっていく。

光っている物は、見つけてほしいから光っている。
でも、いつか消えてしまう、儚(はかな)い光。

なんだこれは。
なんだこの哲学的な世界感は。

スタンリー・キューブリック
2001年宇宙の旅」を初めて観たときみたいに
自分の体がからっぽになって
意識だけどこかに飛んで行くような感覚。

音響効果も相まって
自分も水の中に潜ってるみたい。

海で摂った大きなエビを葉っぱで巻く。
蒸しあがったら殻を割って腹を引き裂く。
ぷりっぷりの身を食べる。
いのちをもらって、自分が生きる。

生きると死ぬは、1セットだ。
生きていたものを食べないと、生きられない。
いのちはそうやってつながってる。

海の底で光る「きょうだい」たちの姿に
ふと、放射能の影響が浮かんだ。

フィリピン沖でジュゴンに育てられた2人の兄弟。
日光に当たると皮膚が乾燥してしまうので
水の中でないと弱ってしまう。
陸上に適応できた弟の方も、寿命は長くない。
それを彼ら自身も分かっている。

もし。彼らの体内に放射性物質が蓄積されているとしたら。
ラジウム時計のように、暗闇で光ることに説明がつく。
彼らは水爆実験の被害者なのではないか。

いのちを生み出す海の真ん中で、放射能の実験をする。
海の底の泥には、放射性物質が降り注ぐ。

泥に棲息していた微生物を海底の生き物が食べる。
その生き物を、さらに大きな生き物が食べる。
それを人間も捕獲して食べている。

食べないと生きていけないのに、
そのいのちをないがしろにしているこの世界。

浜辺に打ち上げられたクジラや
深海にいるはずの魚たちは
それを訴える為に日本に集まってきたのでは。

原作は読んでないけど
真っ黒なシルエットのまま崩壊していく「海くん」の姿に
原爆で一瞬にして「影」になった人を重ねてしまった。

夏の始めに、えらいもんを観た。

近いうちに広島へ行こうと思う。
息子を連れて。

この世界の片隅に」も、もう一度2人で観よう。

原発を推進する政府に
どうか、この映画を観てもらいたい。

「今」がよければ、それでいいですか?

未来のこどもたちのために、
本当にそれでいいですか?